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農業と地下水汚染−硝酸の旅−

農業が地下水汚染に関係する!


先生

先生
「人間の活動は環境に影響を与えます。地下水は地中にあって目に見えないから影響といってもぴんと来ないかもしれません。 でも、特に自然と関係の深い農業活動の影響で、地下水汚染が起こっていることがわかってきたのです。」

生徒

生徒
「農業活動がなぜ地下水汚染を引き起こすのですか?」

先生

先生
肥料成分として重要な窒素というものが、地下水に入って汚染物質になるからです。 窒素・リン・カリウムは植物の成長にとって必要で、肥料の三要素と呼ばれています。 このうち窒素は土中の微生物の活動によって、硝酸イオンというものになります。」

生徒

生徒
「窒素が農業に必要だから,汚染も起こるのですね。」

先生

先生
「そうですね。だからどんな作物で窒素肥料がたくさん使われるかを調べれば、どこの畑が汚染を起こしやすいかも分かってきます。」

汚染された地下水は飲み水になる?!

先生

先生
「でも汚染の原因は肥料だけでもありません。トイレの浄化槽が壊れていたり、 家畜の排泄物が地面に埋められたりしていると、それらに含まれている窒素が硝酸イオンに変わり、肥料と同じ問題をおこします。」

生徒

生徒
「硝酸イオンによる地下水汚染が起こると、どういう問題が起こるのですか?」

先生

先生
「日本全体では、水道水の1/4程度は地下水です。 地下水のあるところでは昔から地下水が水道水として飲まれてきたので、水道水の汚染が問題になりますね。」

生徒

生徒
「水道水を飲んだら死んだりしてしまうのですか?」

先生

先生
「汚染、なんていうとドキッとするかも知れませんが、大人の場合そんなに怖がることはありません。 ただ、硝酸イオン濃度の高い水を長期間にわたって飲んだ赤ちゃんに影響がでることなどが知られています。 そのため、これ以上水道水に含まれてはいけない硝酸イオンの濃度が、国の基準値(水道基準)として決められています。 山梨県の甲府盆地には地下水を水源としている水道が多いのですが、 一方で窒素を使う果樹栽培も盛んですから、水中の硝酸イオン濃度が高くなって水道の水源として使えなくなった井戸もあります。」

生徒

生徒
「僕のうちの水道水は地下水なのかどうか、あとで調べてみます。」

土は水をきれいにしてくれないの?

生徒

生徒
「地表でする農業活動と地中にある水とが関係するという話は、やはりぴんと来ません。土は水をきれいにしてくれないのですか?」

先生

先生
「そうです。土には水をきれいにする力があります。でも硝酸イオンは雨が地中にしみこむときに、水と一緒に移動して地下水にはいってしまいます。」

生徒

生徒
「では、他のものでも水と一緒に移動して地下水にはいるのですか?」

先生

先生
「たとえば、リンとカリウムのイオンはプラスの電気を持っています。 一方の土はマイナスの電気を持っているので、こういったものは土にくっつきやすく、水と一緒に移動することはありません。 でも硝酸イオンは特別で、マイナスの電気をもっているので、土にくっつきにくくて、水と一緒に移動しやすいんです。」

地下水汚染と地球環境問題?

生徒

生徒
「ところで、汚染の対策はどうなっているのですか?」

先生

先生
「硝酸イオンが地下水にとどくまでにかかる時間や、その間の変化などを知るのは難しいので、対策も難しいのです。 それに日本では、地下水汚染が見つかっても飲み水に河川水などの表流水を使うことができる場合が多いので、「地下水を使わない」というのも対策になります。 でも、本当は使いやすい地下水です。たとえ水道水源として使わなくなったとしても、きれいにしておくことを考えたいですね。」

生徒

生徒
「そのためにはどんな考え方が必要ですか?」

先生

先生
「地表での人間の活動は、人間が生活していくために必要ですが、環境にも影響を与えます。 だから人間活動と自然との関係を知って、その調和を保つ努力をするということでしょう。 地下水を使っている場所に住んでいる人は、自分たちで自分たちの使う地下水を汚す可能性があることを知っていれば、 肥料の撒き方も変わってくるのではないかと思います。 地下水汚染は、自分たちが出した二酸化炭素で自分たちの住む地球の温暖化が進むという問題と、似たところがありますね。」

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